Jardin d'Apsara Paris

アプサラのタロットカードリーディングとパリの暮らし

幸せのレッスン(3)幸せについてのバイアスを乗り越え、自分の幸福を内在化する

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幸せについての自他のバイアスを乗り越える

 

「幸せについて、正しい(自分にとっての)ゴールを設定し続ける」と、シリーズの2回目(幸せのレッスン(2)ハッピーダイアリーをつける - Jardin d'Apsara Paris_)に

書きましたが、幸せにも短期と長期の設定があると思います。

 

長期の幸せ達成は、自分にないものを認識し埋めていく作業にならざるを得ませんが、これしかしないとえてして毎日不安になります。そのため、短期的には、幸せを「何かを手に入れた状態」「地位」「もの」ではなく、「在り方」にフォーカスして設定します。

 

もちろん、長期的にしか達成されないような経済的な豊かさ、夢に見た仕事、満ち足りたパートナーシップ、スリムな体形などは追求するにふさわしいものですが、「在り方」をまず幸せにしていけば自然にそこに辿り着くというのが多くの人が言っていることのように感じます。

 

そして、自分の性質や人生のどこのステージにいるかによって、なにが幸せかが変わってくるのが当たり前だから、通り抜けてきた人生の中で知らないうちに刷り込まれ、もはや自分と一体化してしまった幸せについての認識を上書きし続けることが大切だと思います

 

さて、イェール大学の講義の後半でHappiness Strategyとして紹介されていた事項が大まかに次のような点です。これは主に、何事にも慣れてしまう人間の特性をふまえた短期的な幸せゴールの設定のための知恵です。

 

(1)慣れてしまうことがないものに投資しよう

高給取りの生活、地位財、真実の愛と思う相手、などは残念ながら飽きとは言わないまでも経年による慣れが生じてしまいます。ですので、慣れてしまいにくいもの=経験に投資しましょう。

 

旅行、学び、食事(おいしいものを経験する・自分で常に新しいレシピに挑戦する等)などは、それ自体は形として残りませんが、幸せな想い出、良い記憶として残るものです。また、あなたが持っているものは人に嫉妬させることの方が残念ながら幸せにすることより多いかもしれませんが、経験について共有することでほかの人に何かを伝えたり幸せにできる可能性が大きいからです。

 

自分の経験と知識を惜しみなく人に分けてあげるという行為も、まさにこれでしょう。良い使い方だったと思える経験がどれだけあるかが自他の幸福感を増やすと思います。

 

旅行なども、行く前から幸せになりますよね。

 

(2)慣れてしまうことを乗り越える

 

第二部でも言っていますが、非日常でも、日常でも、その瞬間の経験を深く強く味わうことによって、注意を集中し、幸福を味わう経験を長くするこということです。

 

我々の多くがしてしまうように、常に先のことを(不安をもって)考える、過去のことを、もっと良い選択肢があったのではと考える、終わってしまったときのことを考えることをやめる習慣をつけましょう。

 

私にもそういう時がありますが、これって本当に、自分の人生の時間がお金だとしたら、チャリーンと捨てて損しているのと同じ気がします。

 

このためのエクササイズとして、8分間幸福な想い出をリプレイする行為をまずは3日間続けてみましょう。思い出すというより、その時に自分が感じた幸福をもう一度再現して経験しなおすという感じです。統計によるとこれを4週間ほど続けると幸福感が増加するそうです。

 

また、人間関係や職場などに不満がある場合。ネガティブビジュアル化によって感謝の念を深めるというエクササイズを試してみてください。

 

「この人に会えていなかったら」「この会社に入れていなかったら」と想定して、15分間そのシチュエーションで自分が得られていなかっただろうものを書いたりして認識する。また、この日が人生最後の日だったら、この仕事、この場所にあと1200時間、あと半年しかいられなかったら、とシミュレーションすると感謝の気持ちが増えるということでしょうか。

 

持っているものを感謝とともに認める練習として、「私は…に感謝します」を5つ書いてみる、これはよく言われる良い面にフォーカスして悪い面を相対化するのに役立つのかなと思います。

 

残念なことに他人を変えるのは自分を変えるよりずっと大変ですが、少なくとも自分の気持ちの方は少しでもコントロールできれば外にも変化があらわれてくるかもしれません。

 

(3)基準をリセットする

同じ大きさの円を、それよりさらに大きな円で取り囲めば小さく見える、でももっと小さな円で取り囲めば大きく見える。

 

自分の満足不満足も、何と比較するかによって認識が違ってくることを意識しましょう。

 

以前の職場に行ってみる。観察する(比べる対象を実際に見てみる)。比較そのものをやめる(自分の持っているものに感謝する)。

 

体型については、モデルではなくフツーの人を見る。そして、現実の体、仕事、お金について正直に出したSNSのポストを評価すること、自分もそうすることを心がけることもすすめられて(これはほかの人の不満足感を助長するような行為をやめるということかと思います)。

 

毎週決まった日にSNS断ちすることも勧められていました。この講義では、幸せについてのSNSの大きな害が複数回強調されていました。

 

もともと大学生に対しての講義のため、アメリカでも若者に関するSNSのネガティブな面についてかなり問題視されているのだなと感じました。

 

(4)惰性の消費をやめる

(1)をつきつめた感じですが、繰り返すほど幸福感がなくなっていくものになるべくお金や時間を使わない、あるいはできるだけ分割して楽しむという考え方も面白いと思いました。

 

CMが入ると、最後まで番組を見る人が増えるという統計から、分割や、距離をとることが幸福感の維持に役立つということです。

 

自分を振り返ると、毎日外食したりおやつを習慣にすると、それが当たり前になっていきますが、一週間に一度だけきちんとしたレストランに行くとか、スイーツを食べると考えると当然ですがそこに特別感が生まれます。そのときには駄菓子ではなく本当に良いものを食べようと思うわけです。

 

経験はダイナミックなので、緩急が大事ということですね。

 

講義を聞いたのは2020年でしたが、今こうして書いてまとめてみると、自分が毎日やってみるかどうかは別としても、幸福の認識がある程度技術によるものであるということはわかった気がします。

 

私は人生の前半では、自分が幸福かどうかなんてほとんど考えたこともありませんでした。その時に自分の目標があり、それに向ってひたすら突き進んでいたからでしょう。

 

この間、息子と進路について話していて、自分が幸せと思える在り方を可能にするのであれば、何でも良いのではないかという話をしました。まだ16歳だから、これから人生の毀誉褒貶の中で自分と出会っていくのでしょう。自分がどんな在り方を幸せと思うのかを、そしてそのような幸せな在り方をあらゆるバイアスを乗り越えてつかめる力をはぐくんでほしいと思います。親ができるのはその力を強くするための応援だけという結論に達しました。

 

私は個人的にはいつかは自分が幸福か幸福でないかなんて意識することすらなく、生きていける日がくればいいなと思っています。